しろくまのまわり道

病気との暮らし。子宮頸がんワクチン副反応、身体表現性障害。

奇病ちゃんは仲間を連れてやって来る

こんにちは。タダノマシュウです。

前回の奇病ちゃんは…

高校1年生のマシュウの元へ、突然やってきた奇病ちゃん。

救急車で運ばれるものの、原因は分からず、体は震えっぱなし。

とりあえず大きな病院で1か月検査入院することになったマシュウだったが…?

 

奇病ちゃんの困ったところとして、まず挙げられるのが

「仲間を大量に、しかも定期的にメンバーを変えてやってくる」

というところです。

つまり、発作の種類がひとつではなく、いくつも種類がある。

さらにその発作は、時間が経つと違うものになる。

ということです。

 

最初のほうは「振戦」という発作がメインでした。

ご高齢の方が、湯飲みを持とうとして、手がぷるぷる震えることがありますよね?

あれが「振戦」です。

まあとにかく手も足も震える震える。

しかし、これが不思議なことに、眠るとパタリと発作が消えるので、この頃の対処療法は、「発作がひどくなったら、睡眠薬を無理やり飲んで眠る」というものでした。

今考えると、ちょっと暴力的ですね…。

 

その後、「硬直」という仲間が増えました。

文字通り、腕や足が固まってしまうというものでした。

 

さらに「脱力」という仲間もいました。

多かったのは膝から下がカクンと崩れてしまう脱力でした。

 

「振戦」「硬直」「脱力」が奇病ちゃんの初期メンバーです。

 

今考えると、これらの発作の前に、なんとなく「腕がムズムズしていてもたってもいられない」という症状もありましたが、奇病ちゃんの発作のひとつだったのかもしれません。

 

どうして、このように発作がコロコロ変わることが困るのかというと、

・お医者さんが診断をつけられない

・当事者はいつまでも発作に慣れない

このような理由があります。

発作がこんなにも流動的だと、診察の度に発作の種類が変わってしまって、病名が見分けられません。そのため「心の病」「詐病」「自分で演技しているのでは?」と心ない言葉を掛けられる「ワクチン副反応の患者さん」はたくさんいます。

私も「心の病」「病気じゃない」と何度も言われたことがあります。

仮に「心の病」なら、適切な精神科および心療内科的なアプローチをしていただけると助かるのですが、「気持ちの問題だよ~。気楽に生きな~。」と脳神経の先生に言われても、私は具体的にどうしていいのか分からなかったので、しんどかったです。

 

また、発作にいつまでも慣れないというのも、なかなかしんどいです。

例えば、私は「脱力」発作が出たとき、足を一定の角度に曲げると歩けることが分かりました。でも、「認知機能の低下」という新しい症状が出ると、そもそも「歩く」ということがどういうことなのか分からなくなってしまって、せっかく見つけた「工夫」がおじゃんになってしまったことがあります。

 

奇病ちゃんがいつまでもメンバー編成をコロコロ変えるので、私自身もいつまでも治療が振り出しに戻ってしまいます。

前に進みたくても、「治療に専念」みたいな状況が定期的に訪れるので、就職とか結婚とか出産とか…「出来るのかな」という不安でいっぱいになることもあります。

 

つまり、ライフプランがめちゃくちゃ建てにくいんです。

 

「もう良くなったの?」「今元気そうだけど、まだ体調良くないの?」「いつからフルタイムで働ける?」「本当に仕事に責任を持てますか?」「いつになったら自立するの?」と言われると「ううむ… すみません、分からないんですよ。うちの奇病ちゃん、気まぐれなもので…。」と内心ぐぬぬと困ってしまいます。

(高校生のとき、英会話の先生に拙い英語で「My body is moody.(私の体は気まぐれです)」と言ったこともありますが、あれ伝わってたのかな笑)

 

ただ、やっぱり8年もこんな感じで困っていると、さすがに困ることに飽きてくるんですよね。「治すとか治さないとか面倒くさいナァ」「まあしょうがないかあ」みたいな。

そうなると

「もう治らないなら、好きなように生きなきゃもったいなくない?え、治るの待ってたら、人生あっという間に終わるわよ?人生1度きりだし、楽しみたくない?」

とブル●ンちえみさんみたいな気持ちになります。

今後ももしかすると、発作が変わるかもしれません。でも、楽しく生きるためには、そんな体に困ることよりも「誰かに伝え続ける」ことが大切だと思っています。

具体的には、一緒に仕事をする方と接するときは、こんなことを気をつけています。

  • できるだけ詳細に、自分の体のことを話す
  • 体の症状によって、どんな障害があるのか説明する

(例えば、直接お会いする約束をする際に「突然歩けなくなって、約束場所までたどり着けない時があるので、念のためビデオ会議の環境を整えていただくことは可能でしょうか?」と言っておくなど。)

  • 発作が出たときは、どうしてほしいか伝えておく
  • 体が弱くても、出来ること(自分の強み)をアピール

そして何よりも

仕事を休んでしまうことがある代わりに、

人一倍誠実に、一生懸命に。

ということを大切にしています。

 

大学や高校の授業なんかも、欠席が多くなる代わりにできるだけ一生懸命に講義に取り組むようにしていました。(中にはどうしてもやる気が出なかった科目も、もちろんあるけど…笑)

そうやって、自分にできることを精一杯やることは、「治す」ことよりも生きがいを自分に与えてくれると思っています。

こんな偉そうなことを言っていますが、8年経ってやっと思えたことです。

ちょっと変わった体だけど、何とかなるよ、きっと。大丈夫、大丈夫。

 

おっと、今日は奇病ちゃんは色んな症状を持ってるよ!ということを紹介したかったのに、ちょっとエモーショナルな記事になってしまった!

次回は、もっと日常っぽい記事にしようかなあ。

ワクチン副反応の患者さんにも、そうでない人にも楽しんでいただければ幸いです。

次回もお楽しみに!